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2年経ってもかなわないジョン・レノンの理想 21歳の訴えに記者は

 1月、オーストラリア・メルボルンを取材で訪れた。テニスの全豪オープンで再会したい選手がいた。  ウクライナ出身のマルタ・コスチュク(21)。2022年11月、女子の国別対抗戦、ビリー・ジーン・キング杯の日本戦で来日したときの話が強く記憶にあったからだ。
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 故郷の首都キーウに、その1カ月前に帰省した話をしてくれた。ロシアの侵攻が2月に始まってから初めての帰省。「私が帰省を終えた2日後、滞在した場所が爆撃された。それまで数カ月、空爆はなく、皆にとって安全が戻ったと思った矢先だった」。山登りに出かけたときは、地対空ミサイルが空中のミサイルを撃ち落とす音を聞いたという。  「地面に着弾する音と違った。人生であれほど怖いと感じた瞬間はない」  ツアーで訪ねる都市と、空爆におびえる母国との落差を淡々と語る。まるで、それが「日常」であるかのように話している錯覚を、聞く私に抱かせた。  彼女は2日間でシングルス2試合を制し、ウクライナの勝利に貢献した。最終日の試合後、会場の有明コロシアムに名曲「イマジン」が流れた。  平和に人生を生きることを想像すると、夢想家だと言われるかもしれない。でも、皆が思えば世界は一つになる――。  ジョン・レノンさんが歌詞に込めた願いは、残念ながら、かなっていない。  有明での試合から1年2カ月が過ぎた。夏真っ盛り、青空が広がる南半球のメルボルン。大会開幕時に世界ランキング37位だったコスチュクは、4大大会で初めてベスト8まで勝ち進む躍進をみせた。  8強入りをかけて戦ったのは、ロシア出身の選手だった。試合前の記念撮影は選手2人がコイントスをする子どもと一緒に写る。それを、別々に撮る配慮がなされた。コスチュクがストレート勝ちした後、礼節として行うネット越しの握手もなかった。  コスチュクは全豪オープンのシングルスで5試合を戦った。勝ち上がるにつれ、記者会見に顔を見せる記者の数は増えていった。ロシアによるウクライナ侵攻についての質問も増えた。  コスチュクは言った。  「もし、戦争が始まって1カ月…

<引用元>http://www.asahi.com/articles/ASS294CH5S26UTQP014.html?iref=pc_spo_tennis_list_n