世界で
新型コロナウイルスの感染が収まらないなか、テニスの
全豪オープンがオーストラリアの
メルボルンで開幕した。観衆を集めて2週間にわたって開く国際大会だ。感染対策の様々な工夫には、豪州のこれまでの封じ込め策が凝縮されている。
大会が開幕した8日、月曜日の朝にもかかわらず、熱心な観客たちが会場の入り口で列を作った。「ここは、マーガレットコートアリーナ・ゾーン専用です」。係員が呼びかけた。
主催する豪州テニス協会は今回初めて、会場の
メルボルンパークを三つのゾーンに分けてチケットを発行している。ゾーンごとに会場の敷地への入り口が違い、観客は自分のチケットとは違うゾーンには入れない。チケットの数も、十数カ所のコートに分かれて試合が進む1週目は、三つのゾーンの合計で1日あたり計3万人に限定した。収容人数の25~30%にあたる数だ。
観客の感想は?
センターコートで行われた大会1試合目には、
大坂なおみが登場した。観客たちは、チケットで割り当てられた座席に座る。
一方、午後に登場した
錦織圭の試合は、収容人数の少ないコートだった。ここは座る座席は自由だが、入り口に
QRコードの表示がある。
スマートフォンで読み取って名前と携帯電話番号を入力して「チェックイン」後に、中に入れる。
ゾーンを分けて観客の行動範囲を制限し、会場内のどこにいたかを座席番号や
QRコードの情報で把握する。「観客の中で感染者が出た場合、どこに誰がいたかを迅速に追跡できる」と協会は説明する。豪州では保健当局が、感染者と同じ時間帯に近くにいた「濃厚
接触者」を特定して検査と隔離を求める感染追跡を集中的に実施し、感染拡大を防いできた。
「
接触レス」も徹底している。紙のチケットは全廃。観客は
スマホに表示した電子チケットの
QRコードを各ゾーンのゲートでかざして入場する。
売店での支払いは「カード限定」。完全な「
チケットレス」「キャッシュレス」で
接触感染を防ぐ狙いだ。
手すりやドアノブなどを拭き取る姿もある。清掃員のニコラス・
グティエレズさん(24)は、自分が担当する
センターコートの区域で「15分ごとに手が触れる表面を拭き取ります」。会場全体も毎晩、十分に清掃する。
手をかざすと自動で噴霧される消毒剤ステーションも、800カ所以上に設けた。
メルボルン市内と同様、屋内はマスク着用が義務。屋外のコートは義務でなく、応援の声を上げることも自由だ。
センターコートは、雨天で屋根が閉じられるときはマスクが必要になる。違反すれば罰金200豪ドル(約1万6千円)が科せられる可能性がある。
様々なルールにも、観客らは好…
<引用元>http://www.asahi.com/articles/ASP2B3QLXP29UHBI028.html