今シーズンは「クレージー」 大坂なおみ、笑顔で総括
テニスの4大大会で、日本人初のシングルス優勝者となった世界ランク4位の大坂なおみ(日清食品)が、今季の日程を終えた。初出場を果たしたWTAファイナルで1次リーグ敗退が決まった26日、「クレージーな年。たくさんの新しい経験ができた」とシーズンを総括した。
世界ランク68位で迎えた今季は、4大大会に次ぐ格付けの大会でツアー初優勝。全米オープンでは、日本人初の偉業を成し遂げた。強打に固執せず、ストローク戦の中で辛抱強くチャンスをうかがう「大人」の姿勢も身につけた。
それでも、公言する夢の世界1位はまだ先だ。プロ転向6年目の今季、世界10位以内の選手との対戦成績は、3勝9敗。得意の「先行逃げ切り」に持ち込めないともろかった。戦略性が求められる赤土コートも苦手だった。「(全米オープンの会場のような)ハードだけでなく、他のサーフェスでも良いプレーができなければ」と口にした。
全米優勝後は周囲が騒がしくもなり、体調も崩した。その中で東レ・パンパシフィック・オープンで準優勝。だが、WTAファイナルの出場者で、4大大会で3度の優勝経験を持つ世界2位のアンゲリク・ケルバー(独)は、「4大大会のような大きなタイトルを、初めて取った時の重圧は生半可ではない」と言う。大坂は、最終目標だった年間成績の上位者によるWTAファイナルでは、心身ともに限界に達した。突破の可能性が残る1次リーグ第3戦を、途中で諦める形になり、涙した。
長いシーズンを乗り切るための体力とペース配分。それを身につけることはトップ選手であり続けるための宿命だ。「(8月下旬に始まる)全米オープンからシーズン終盤の今の時期まで、プレーの質を維持できるようになりたい」と誓った。
世界ランクを一足飛びに駆け上がり、確かな足跡を刻んだ21歳。最終戦はほろ苦いものとなったが、充実感漂う笑みを見せた。「結果を見れば最高のシーズンだったかもしれないけれど、私はいつも前を向いている。2019年はワクワクする」(富山正浩)