■匠の圭
男子テニス界は欧州でのクレーコートシーズンに突入した。世界ランキング5位の錦織圭(日清食品)は24日開幕のバルセロナ・オープンから参戦する。近年、好成績を出している赤土の舞台。全仏オープン(5月28日開幕)に向けた前哨戦3大会で勢いをつけたい。
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>コラム「匠の圭」</a></li>
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「これだけクレーで結果が出てしまうと、好きにならずにいられない」
昨年、全仏開幕前の錦織の発言だ。理由も語っている。「クレーはハードコートに比べてサービスエースが取られにくいので、リターンでチャンスがある。ストロークで、いっぱいできる」。球足が遅くなる赤土ならストローク戦に引き込み、前後左右に揺さぶって勝機をつかめる、と解釈できる。
確かに、過去3シーズン、全仏の前哨戦と位置づけられている3大会(バルセロナ・オープン、マドリード・オープン、イタリア国際)は好成績が目立つ。負けたのは男子テニス界の四天王として、なお君臨するジョコビッチ(セルビア)、マリー(英)、ナダル(スペイン)だけだ。特に昨年のイタリア国際では、全仏初制覇を成し遂げることになるジョコビッチに対し、フルセットのタイブレークまでもつれこむ接戦を演じた。
今季、これまでの錦織の成績は15勝6敗。同時期で見ると昨年の18勝5敗、一昨年の19勝5敗(ともに国別対抗戦の成績を除く)と比べ、やや見劣りする程度。期待値が年々高まっているため、「大活躍」という印象が薄いのも事実だ。
全仏の前哨戦3大会は昨年、好成績を挙げたことで世界ランキングに換算されるポイントもかなり稼げた。1年経つと消滅するだけに、今年、序盤での敗退が続くとランキングも下がる。そうなると、全仏の組み合わせで、序盤戦で強敵と対戦しないで済む上位シードの特権も失いかねない。ここが正念場。まずはバルセロナで2年ぶり3度目の頂点を狙う。(編集委員・<a
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title="稲垣康介の記者ページを開く" class="ReporterLink">稲垣康介</a>)
■錦織の過去3年の全仏前哨戦3大会成績
大会名/年 2014 2015 2016
マドリード 準優勝(ナダル) 4強(マリー) 4強(ジョコビッチ)
イタリア国際 欠場 8強(ジョコビッチ) 4強(ジョコビッチ
※カッコ内はその大会で負けた選手